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2008.1.30

友人のTが、北海道までスキーに行ったらしく、
「いやあ、スキーってのはオモロイでぇ」
と、土産をくれました。
高校生のときに授業の一環としてスキー教室があり、お互い長野県の霧ヶ峰に連れて行かれ、初めてスキーなるものをやったわけですが、まあ、ハッキリ行ってワタシはもう全然ダメ。
ワタシより運動神経の悪いTに至っては、もう見るも無様な醜態を晒してたはずなのに、意外や、この年になって目覚めちゃったようです。
もっとも、高校のときのは、確か一泊か二泊の短期で、しかもインストラクターがうちの体育の教師。
この先生が国体でスキーに何回も出ているという達人だったので、スキーの授業もそりゃもうキビシクて、間違っても「オモロイ」なんて言えるもんじゃない。
カニさん歩きから始まって斜面を登り、足に履いたスキーを立てて向きを変え―でもこの板の向きを変えるのが難儀で、簡単にはいかない。下手をすると、尻餅を突いた拍子にスキーの板が外れ(今の板はそんなことないんでしょうけど)、板だけ滑って降りてっちゃう。うまく向きを変えたって、ホッしてる間もなく、次には尻を蹴飛ばされて、今度は、我が身がスキーごと斜面を転がり落ちる。さすがに、ワタシもその場から逃げ出したい心境でしたね。
今回、Tがスキーをやったとすれば、おそらくそのとき以来でしょう。高校時代からの腐れ縁で三十年来付き合って来て、スキーなんて言葉はTの口から聴いたことがなかったんですから。


で、話はちょっと替わり、実は、Tから貰った土産ですが―。
なかなかユニークなものをくれたんですよ。
マリモッコリ。
北海道じゃ、ちょっとしたブームになってるという話で、一言で言えば、一種のマスコットですね。
ワタシにくれたのは、それのストラップなんだけど、表情がカワイイというか、カワイクナイというか、そのあたりがちょっとビミョーで、でも少なくとも、他にはない特異なキャラ。
全身緑色で、有名な阿寒湖のマリモをイメージしてるのはすぐ分かるんだけど、目が釣り上がってるような垂れてるような、泣いてるような笑ってるような、そのあたりが妖しいというかコケティッシュというか、何とも言えずこっちのほうこそ「オモロイ」顔をしてる。
で、さらに、ここが一番特徴なんだけど、マリモッコリの名前の通り、アソコがもっこり―。
子授け神社と言われるようなところに、よく男性のシンボルを模ったものが祭られてたりするけど、マリモッコリにもそれに似た御利益でもあるのか、形こそ露でないものの、股間がズンと出っ張ってる。

とは言え、これ、全然イヤラシクないんですけどね。


他にも、タコの塩辛なども貰ったんですが…。
「オイ、タコって英語でオクトパスって言うの知ってるか。でな、10月のことをオクトーバーっていうやろ。このオクトーバーってオクトパスの足の本数から来てるんや。つまりな、タコの足の数から10月って言葉が生まれたってわけや。どや、ひとつ利巧になったやろ」
Tはそう博識をひけらかしましたけど、でも、ちょっとマテヨ、タコって8本足じゃなかったっけ。なら、10月じゃなくて8月になっちゃうんだけど…???

2007.11.10

博多に行って来ました。
観光旅行じゃありませんよ。勉強会があって、そこへ出席するのが目的です。
飛行機の苦手なワタシは、どんなに時間が掛かろうとも、ひたすら陸路。空を飛ぶなんてとんでもない話で、想像しただけで意識が遠くなりそうです。
もっとも、カミサンにそう言ったら、
「だったら、却ってラッキーじゃん。気を失って、眠ってるうちに博多に着いちゃうもん」
まったく、他人事だと思って言いたいこと言ってる。
まあ、そーゆーわけで、博多まで新横浜から新幹線。「のぞみ」に乗って約五時間です。

ただ、五時間はやっぱり長い。ひとところに座ったまま、じっと五時間耐えるというのは、尻の肉の薄いワタシにとっては、さすがにキツイ。
お年寄りから生まれたばかりの赤ちゃんまで、ニューヨークだの、パリだの、ローマだの、平気で海外に飛行機で往復する時代。十時間以上も飛行機の座席にくくり付けられて当たり前の時代に、新幹線たった五時間くらい、と笑われそうですが、京都あたりまで来ると、腰も尻も膝もそこらじゅう痛くなって来ます。

「だらしないわねえ」
帰った後で、その話をしたら、またカミサンから言われましたが、五時間と言えば、たとえば、羽化して二週間程度しか生きられないセミにとっては、人間の二年分くらいに相当するわけで、こりゃやっぱり長い。

で、ふと思い出して、話を変えますが、動物の時間というは、体重の1/4乗に比例する、という説があるのをご存知でしょうか。サイズの大きい、重い動物ほど時間の経過が遅いということのようです。
中央公論から出てる「ゾウの時間、ネズミの時間」という本を読んだら、そんなことが書いてあったんですが、巻末には、更にこんな詩がありまた。

ゾウさんも、ネコも、ネズミも、心臓はドッキンドッキンと、二十億回打って止まる。

ウグイスも、カラス、トンビに、ツル、ダチョウ、スゥハァ スゥハァ スゥハァと、息を三億回吸って終わる。

おっと、待って下さいよ。
ということは、頻脈の人とか、緊張しやすくてすぐドキドキする人ってどうなんでしょう。普通の人よりも早く心臓二十億回打っちゃうわけだし、いつも、スゥハァスゥハァしてるマラソン選手なんて、三億回の息なんてあっという間という気もします。

と、かくいうこのワタシ。
「健康のために」と、"勘違い"して、日曜日には欠かさずプール。
〆にはいつも全力で泳ぐので、ドッキンドッキンどころか、かなりドキドキドキドキ。スゥハァスゥハァではなく、ヒィヒィハァハァで息もタエダエ。
もしかして、コレ、かなりアブナイ???

2007.9.24

ようやく涼しくなってきました。
今年の夏は、いやあホントに暑かったですね。
自宅マンションのワタシの部屋は、今時エアコンもないんですよ。
蒸し風呂というか、灼熱のアラビア砂漠というか、ともかく夜になっても暑いと言ったらない。京都の三条川原で釜茹での刑になった石川五右衛門じゃないけど、この部屋の「炎熱地獄」は我慢の限界なんてとっくに超えちゃってる。
そのせいかどうかは知りませんが、ワタシのオンボロパソコンも具合が悪くなってしまい、三日ばかり前にハードディスクを取り替えて漸く復旧。もう、ハードディスク取り替えるのも二回目なので、そろそろ新しいパソコン仕入れたほうがいいのかも知れません。
そんなワケで、夏場はちょっとコラムをお休みしてました。

ところで、パウンドケーキって皆さんご存知でしょうか。
甘いもの好きの方なら、男性でもよく知ってらっしゃるでしょう。
いや、今は甘いものと言わずにスイーツって言うのかな。ケーキやらプリンやらチョコレートやら、その類のお菓子というかデザートを、「甘いもの」とか「お菓子」とか「デザート」って言わずに、スイーツって言うらしいですね。

もっとも、パウンドケーキがそのスイーツの範疇に入るのかとなると、ワタシもどうか知りませんが、それはともかく、ワタシ以上にご存知ない辛党の男性諸氏のために説明しておくと、パウンドケーキっていうのは、蓋のない長細い厚紙の箱に入ったケーキ、そういうのをパン屋さんやスーパーなんかで見かけたことはありませんか。見た目はカステラみたいな感じだけど、もっとキメが荒くてこってりしていて、レーズンなんかが中に散らしてあるヤツ。クリームは乗ってないけど、モノによってはちょっと洋酒がきいてたりして、ワタシは昔からけっこう好きなんですが…。

で、この前、そのパウンドケーキを頬張ってて、ふと思ったワケですよ。
「パウンドケーキのバウンドって何のこっちゃ?」
さっそく辞書で調べてみると、「パウンド」ってのは「pound」って書いて、要するに重さのポンドのことらしいのです。
昔、プロレスが全盛のころ、試合の始まる前にリングアナウンサーが、
「赤コーナー、二百八十八ぱんどぉぉ四分の三んんん、ジャイアントォォォ馬場ァァァ」
なんて叫んでましたけど、あの「ぱうんど」ですね。
辞書によると、1ポンドは454グラムだとか。
で、パウンドケーキですが、これを作るのに、オリジナルでは、小麦粉1ポンドと、砂糖1ポンドと、バター1ポンドと、卵1ポンドを混ぜて焼くんだそうです。そうすると正しく正真正銘のパウンドケーキに―。
でもちょっと待てよ。
これでケーキ作ったら、とてつもないモノになると思いませんか。重さ約2キロ、カロリーなんてそれこそウン万カロリー。
もちろん、ワタシ、2キロも食べるはずもないですけど、一口だって相当なカロリーが…。
何せ、小麦粉はともかくバターと卵、それに砂糖がたっぷり。そういえば、パウンドケーキを食べた後は、ミョーに腹持ちが良いような気がしないでもありません。
もちろん、ワタシの食べてるのはオリジナルと組成も違ってるでしょうが、でも本場というか、あちらの人の体型を思い浮かべると、なるほどと思わず頷きたくもなってしまいます。


いや、ヘタに調べなきゃよかった。
パウンドケーキ食べるとき、これからは、いつも、カロリーが頭に引っかかりそうなんですけど…。

2007.7.29

ワタシの従妹が長野にいます。女性。歳は四十半ばくらい。
五月に親戚の披露宴があって、その従妹と数年ぶりに会ったときのこと。
「どうしたの、あれから? やっぱり、みなとみらい行ったの?」
ワタシは何気なく尋ねました。


実は、それより二ヶ月ほど前、時刻は夕食前だったので、午後の六時過ぎでしょうか、その従妹から突然自宅に電話があって、
「今、横浜にいるんだけど、どこかホテルとか旅館とか知らない?」
横浜に遊びに来て遅くなったので、一泊して帰るのだと言います。たぶん横浜の端っこに住んでるワタシなら、適当なのを教えてくれると思ったんでしょう。ところが、生憎、ワタシはそういう方面のことはとんと分からない。
「でも、まあせっかくこっち来たんなら、みなとみらいまで行ってみたら? あの辺りなら立派なホテルいっぱいあるし…」
ワタシは、随分いい加減な答え方をしました。
そんなことがあったので、ちょっと気になって聞いてみたんです。

 

「うん、泊まった。桜木町から動く歩道に乗って…」
えっ、みなとみらい線乗らなかったの、と聞くと、横浜は初めてで乗り場がよく分からなかった、と。
桜木町で下りるより、みなとみらい線使ったほうが、よほど便はいいのですが。
でも、そのときになって、ワタシ、いつも内気な従妹が一人で横浜まで来たのに気が付きました。
「珍しいね、単独行動なんて」
と言うと、辺りを憚りながら、
「違うのよ、姑とちょっとケンカしちゃってね、家出」
「ホント?」
ワタシは、ますます意外な気がして、唖然としました。

 

「でも、こっちのホテルは高いわね。二万●●千円も取られたわ」(スミマセン、●●のとこ、正確な数字忘れました)
「そりゃ、長野よりは高いだろ。二食付きだったの?」
「ううん」
「えっ、朝食のみ?」
「ううん、泊まるだけ。で、海側だともう三千円増しだって言われたから、海見えなくてもいいから、安いほうにしてくださいって言ったの」
それでも、二万●●千円。ウーン、高い! そりゃいくら何でも高すぎる。

「それに、おかしいのよ。ベッドが二つあるの。ねえ、ホテルって一つのベッドの部屋ってないの?」
自分で部屋を取ったことなんてないんでしょう、従妹はヘンな質問をします。
「いや、そんなことない。フロントで何て言ったの?」
「お部屋、空いてますかって」
「ちゃんとはっきり言わなかったから通じなかったんじゃないの?」
「そうねえ、そうかも。だって、ヨコハマは初めてだし、ホテルに一人で泊まるのも初めてだし、建物は大きくて立派だし、私は家出だし…」
なるほど。従妹の気後れした光景が目に浮かびます。
「荷物は?」
「ハンドバックだけだけど―。最初はこんな遠出するつもりじゃなかったのよ、だから…」
ワタシは、次第に分かってきたような気がしました。
「フロントの人はいくつくらい?」
「私より、ちょっと上くらいの人」
ふむふむ。で、お部屋空いてますか、って言ったら、一人なのにツインの部屋に案内された、と。

 

「たぶんね、それ、勘違いされたんだよ」
つまりね、とワタシは言いました。
ミチならぬミチに迷い込んだ、人目を憚る人妻とでも映ったんだよ。要するに不倫ってヤツ。だって、いい歳した女性が一人だけだろ。そして、気後れしたように、お部屋空いてますか、だろ。
そのベテランのフロント氏は、きっとピンと来たんだよ。この人は、そういう人なんだって。逢引の相手は、後から来るんだってね。
「ええっ? ヤダ、どうしよう」
従妹は、顔を引きつらせてます。
「だから、そういうときは堂々と言わなきゃ。シングル一部屋って」

 

しかし、勘違いではありましたけど、ワタシはちょっとプロのワザを垣間見た気もするんです。
どんなお客さんか見分け、詮索する素振りも見せず、そのお客さんの必要とする部屋を提供する。
「シングルと、ツイン、ダブル、ご家族でしたら畳みのお部屋もありますけど、どちらに…?」なんて、野暮なことは言わない。あくまでさりげなく、それでいて正解(今回は不正解でしたが)を差し出す。
まさか、これから逢引するんです、とも言えないわけですから、何も言わずにツインの部屋に案内してくれたら、当人にとってはどんなに有難いか知れません。

 

「まあ、よかったじゃない。まだそういう色気があると思われたんだから」
ワタシは笑いながら言いました。
従妹は複雑な顔をしてましたけど…。

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